テープ起こしを依頼するときに必ず必要になるのが、録音です。このとき、録音の質が悪いとどうしてもテープ起こしの精度も悪くなってしまいます。
「プロなのだから、音質が悪くてもどうにかしてくれるはず」と思ってしまいがちですが、そんなことはありません。あまりにも聞き取りにくいと、最悪の場合は依頼を断られてしまいます。
ここでは、テープ起こし用に録音するときのコツをご紹介します。ちょっとしたことに気を付けるだけでもかなり聞き取りやすい録音になるので、ぜひ実践してみてください。
まずは、録音に適した機器について見ていきましょう。
録音に使用する機械は、ICレコーダーがおすすめです。実際に、8~9割ほどの人がICレコーダーを使用しているようです。ICレコーダーの優れている点としては、以下が挙げられます。
デジタル音声のため、簡単に音声データをパソコンに移行させられます。そのため作業がしやすいというメリットがあります。
ICレコーダーは性能が高いため、音声がきれいで聞き取りやすいです。音質の悪さによる聞き間違いなどを防ぐことができます。
発話者の位置情報は、テープ起こしでは大切な情報になります。ステレオ録音なら、複数人の会話でも誰の発言なのかを聞き分けやすくなります。
ICレコーダーは、テープ起こしをする側だけではなく録音する側にとっても便利な機器です。操作性が高いうえに、小型なので持ち運びも簡単です。
最近多くの人が使用するようになっているのが、スマートフォンの録音機能です。ICレコーダーなどと比べると性能が劣るため、以前は好ましくないとされていました。
しかし、スマホ機能の進歩は目覚ましいものがあります。さらに改良が加えられれば、近い将来スマートフォンでの録音が主流になるかもしれません。ですが、スマホ操作に慣れなかったり、誤作動で録音ができなかったりという可能性もあるので、ICレコーダーを使うと確実だと言えるでしょう。
発話者の発言と関係ないノイズが増えれば増えるほど、音声は聞き取りにくくなります。大勢の聴衆がいるプレゼンやたくさんのお客さんがいるカフェでのインタビューなどでは、やはりノイズが増えてしまいますよね。
やむを得ずノイズが多い場所で録音する場合もありますが、雑音が入りにくい環境で録音することができればそれだけで音声の精度はアップします。可能であれば、余計な音が入らない場所に移動して録音を行いましょう。
適した場所の条件としては、ノイズが入らないことのほかに反響しにくいということが挙げられます。フローリングの部屋よりも、畳の部屋やじゅうたんの部屋のほうが音声はクリアに聞こえます。また、カーテンがある場合は閉めた状態で録音を始めましょう。
ICレコーダーは、話し声はもちろんのことちょっとしたノイズも拾います。一度置いたら、録音中は動かしたりしないようにしましょう。またテーブルに直接置くと振動してしまうことがあるので、本や厚い資料などの上に置くとなお良しです。エアコンや扇風機の影響も受けるので、使用しているときにはICレコーダーに風が直接当たらないようにしてください。
また、マイクを使用するときにはその置き方も重要です。発話者の口元に近すぎる位置にマイクを置くと音割れしてしまいますが、かといって遠すぎると音が小さくて聞き取りにくくなります。発話者の口元から30㎝ほどのところにマイクを設置するとよいでしょう。また、人数が多いときにはその分マイクも多めに用意してください。
録音の仕方だけではなく、発話者の発言の仕方によっても聞き取りやすさはかなり変わります。複数人での会話の場合は、できるだけ声が被らないようにしましょう。
特に、発言をそのままテキスト化する素起こしを希望するときには重要なポイントです。録音を開始する前に、発話者同士で打ち合わせをしたり、録音をする相手にお願いしておいたりするといいかもしれません。
テープ起こしを依頼するときに録音が大切なのは言うまでもありません。しかし、テープ起こしの精度を上げるためにできることは他にもあります。それが、資料の用意です。ここでは、用意しておくべき主な資料をご紹介します。
テープ起こしの内容と関連のあるサイトを紹介しましょう。イベント内で講演を録音したものであれば、イベントのチラシなども重要な資料になります。
話の中に出てくる専門用語をすべてまとめる必要はありませんが、話のメインとなる専門用語については解説があると親切です。これがあることで、話全体を理解しやすくなります。
話のテーマは発話者に関する情報などを記載した、簡単なメモを用意しましょう。これだけでもテープ起こしには大いに役立ちます。
このように、少し録音の仕方を工夫するだけでもテープ起こしの精度は高くなります。工夫された録音のデータは、テープ起こし業者にとっても文字起こしがやりやすく、結果として精度の高いテープ起こしが実現できるのです。
これから録音をするという人は、ぜひ試してみてくださいね。