テープ起こしで文字に直した原稿は、場合によっては聞き漏れや聞き間違いなどで、文章が間違っているケースがあります。特に日本語の場合、同じ音で違う漢字などもたくさんあるため、漢字の変換ミスで全く違う文章になってしまう、ということも起こり得るのです。そのために必要なのが校正作業、そして校正を行う上では「校正記号」と呼ばれる特殊な記号を用いていくのが一般的です。ここでは、校正記号について紹介していきます。
左上から右下に向かう斜線を用います。これは、文章中の文言を修正したい場合に、修正する文字に逆斜線を入れ、横線でつないだ後に空白部分に修正すべき文言を入れる、というものです。また、文言そのものを外してしまいたいときには「トル」と入れ、スペースを詰めるときには「ツメ」と書き入れます。いずれもカタカナでの修正となります。
「Y」の文字を使い、文字と文字の間に新しく文字を挿入する場合に使用するものです。「Y」の頭の部分の上に差し込みたい文言を書き記します。
文章を指定の場所で改行したいときに入れる記号です。文章の途中に入れることで、そこから行を変えるように指示を出すことになります。ちなみに段落改行であれば、「の左下線から横線を追加するような形になります。
改行をした際に、字下げをしたくない場合は「下ゲズ」または「天ツキ」と指示を入れる必要があります。
文字を入れ替えるときに使う記号です。隣接している文字を入れ替える場合、「S」の字の囲われている部分にそれぞれの文字を入れることで、その二つの前後を入れ換える、という指示になります。
ここでは、校正作業の中で特によく使われる指示記号について、いくつか紹介しました。ただし、校正記号には他にもいろいろなものがあるので、校正担当者であればできる限りそれぞれの記号の意味を知っておく必要があるでしょう。
校正はテープ起こしをするにあたって、切っても切れない作業の一つとなります。一つでもミスを見落としてしまうと、文章の意味が正しく伝わらなかったり、全く違う意味の文章になってしまう可能性もある重要な作業。校正作業にあたる人は、そうした責任感をしっかりと認識した上で、校正作業にあたることが大切です。またミスに関しては、校正記号を使いこなし、きちんと担当者が分かる形で修正指示を出せるように心掛けましょう。