講義は、講師の話を直接聞くことのできる絶好のチャンスです。研究者の考えを交えながら説明されていく講義は、専門的な知識を得る上で非常に重要なものです。
しかし、長時間にわたる講義や連続して開催される講義など、いくら集中して耳を傾けていても、講師の言葉を一語一句逃さずにすべてを記憶することは難しいでしょう。
準備されているレジュメや資料を見ても、口頭で説明される細かな情報がなければ内容を正確に理解できない場合もあります。
そんな場合は、講義内容を録音し、音声データをテキストデータとして書き起こすテープ起こしが役に立ちます。
講義内容をテープ起こしすることで、講義の時には聞き逃していた情報も拾い上げることができます。ここでは、講義内容をテープ起こしするメリットについてご紹介していきます。
講義内容の音声データをもとに、講師が話した内容をテキスト化していくことです。講義中は専門的な用語が使われることも多くあります。
また、多数の人が参加している講義では、話す音以外にも会場のさまざまな音声が入り込み、講義者の声が聞き取りにくいこともあります。
また、講義は単に用意された原稿を読むわけではなく、その時の言葉を用いて表現されることも多くあります。
文章のように何度も推敲を重ねながらわかりやすい文脈に整えられたものではないため、時には間違えた言葉を使用してしまうことや、口頭での話しをそのまま文章にするとうまく前後がつながらない場合も出てきます。
テープ起こしでは、専門用語であっても正確に捉え、また文章になってもわかりやすい文脈となるよう修正が必要な個所は手直しをしながら、口頭での話しを文章化していきます。
講義中、どんなに集中して話しを聞いていても、どうしても聞き逃してしまう部分は出てきます。
もしくは、聞いていたとしてもそれほど重要だと感じなかった部分に関しては記憶に残らないこともあります。
テープ起こしをした講義内容を改めて読んでみると、リアルタイムでは気にも留めていなかった箇所があることに気づくことができます。
また、講義中は声が聞き取りにくかった部分もテープ起こしにより文章化されたものを読むことで正確な内容を確認することができる場合もあります。
テープ起こしでテキスト化された講義内容は、講義が終わったあとでも繰り返し読むことができます。一度の講義では理解しきれなかった部分や、違った解釈をしていた部分も繰り返し読むことで理解が深まったり、正しい解釈ができるようになったりすることもあります。
また、講義から時間をおいて文章を読み直すことで、その間に身につけた知識や経験から、同じ講義内容でも、自身の経験によって最初に聞いた時とはまた違った意味合いを感じることもあります。講義内容を繰り返し復習することで、専門分野の知識をより深め、自分の研究に活かすことができます。
講義内容がどんなに素晴らしい内容であったとしても、講義を聴ける人は限られています。大学での講義は、その大学に在籍する学生、対象の学部に在籍する学生のみが受けられるものになります。
一般の人も参加できる公開講座や、大学受験を考える受験生向けのオープンキャンパスでの講義も参加できる人の数は限られており、講義に参加できなかった人はその素晴らしさを体験することはできません。
より多くの人に聞いてもらいたいような講義や専門性が強く学術的に大きな功績を発表する講義など、講義参加者以外にも講義内容を広めたいと主催者や講師自身が考えるものもあります。
そのような場合も、テープ起こしによって講義内容をテキスト化することで、講義を聴くことのできなかった人にも講義内容に触れる機会を与えることができます。
大学だけでなく財団が開催する公開講義などでは、講義内容をテキスト化し、販売する例もよくあり、より多くの人に講義を知ってもらうチャンスとなります。
論文と異なり、口頭で話しをする講義は記録に残りにくいという面があります。しかし、会場の雰囲気やその時のひらめきなど、論文には表れないような表現がでてくることがあります。また講義中は、講義会場にいる人たちと対話をすることもあり、対話の中から興味深い発言が生まれることもあります。
講義内容をテープ起こしし、テキスト化することは、このような貴重な発言が含まれた講義の内容を記録として残すことにもつながります。
テープ起こしの方法としては、自分で行う方法とテープ起こしの専門業者に依頼して行う方法の2パターンがあります。
自分で行う場合には、かなりの時間を要する作業となります。
まず、音声データをわかりやすく再生するサウンドプレーヤーが必要になります。現在は、インターネット上に無料でダウンロードができる音声再生ソフトもあるので、気軽に利用することも可能です。
音声再生ソフトでは、不明瞭な音声をクリアに聞こえるようなエコライザやエフェクト機能が備わっています。背景の雑音を抑え、音質を聞き取りやすい音程や周波数に変更することができます。
また、再生スピードを調整することができるので、講義の際のスピードではなく、ゆっくりしたスピードで聞き直すことができます。
一定部分を繰り返しリピートする機能もあり、聞き取りにくい箇所をスピードや音程を変えて、何度も繰り返し聞くことができます。
講義では専門用語を多く使うこともあり、誤字や脱字のないように気を付けてテキスト入力を行います。
ウィンドウズやマックにも音声入力機能がついており、音声データから聞き起こした内容を再度自分で口述し、テキストファイルに音声入力することもできます。
キーボードをタイピングする作業より時間も労力も少なくすることができます。
テープ起こしを専門に行う多数の業者があります。料金は、1分いくらという従量課金制をとっているところが多くなります。
テープ起こしの専門業者では、専門用語や特定の人物名でも豊富な語彙のデータベースを駆使し、正確に漢字で表記することができます。
また、講義中は「あー」、や「えー」などの言い淀みや、言い間違いが出てくることもあります。
これらの言葉をどのように整え、言い間違いを正確な言葉に置き換えることもプロのテープ起こし業者であれば、スムーズに対応してもらえます。
急ぎでテープ起こしをしたい場合や、正確なテープ起こしをしたい場合は業者に依頼する方が賢明です。
特に、一般公開された講義などで、講義内容を出版する予定がある場合は費用をかけても専門業者に依頼する方が、文章がきれいに整えられ、自然に読みやすい文章とすることができます。
講義をテープ起こしすることは、講義を一度きりのものにせず、何度も繰り返し復習できることが大きなメリットとなります。
特に、日本語の講義ではなく英語などの外国語での講義は、講義中はすべてを理解することが難しい場合もあります。
テープ起こしを行った文章を読み返すだけでなく、音声データを録音し、再生スピードを遅らせて繰り返し聴くなどテープ起こしを自分で行う行為自体が講義内容の理解を深めることにつながります。
また、公開講義などでは、講義内容をテープ起こしすることで、講義内容を出版することもできるなど、多くのメリットがあります。